ゴールデンスケートの記者、タチアナ・フレイドさんによる,
新葉選手の今季総括及び来季に向けての記事です。
フレイドさんご本人及びGSのウェブ担当の方にお願いしたところ、
翻訳&ブログ掲載をご快諾いただけました。感謝いたします。
既に大勢の方がSNS・ブログ等で翻訳されているので今更だとも思いますが、
補足的なものとでも思っていただければ。
元の記事はコチラ:http://www.goldenskate.com/2017/05/wakaba-higuchi-2/
"Japan's "power girl" Higuchi gears up for Olympic year."
――日本の「パワーガール」樋口新葉は五輪シーズンに向け加速する。
浅田真央と村上佳菜子の引退後、
日本の女子フィギュアスケートにおける注目は、若い「次世代」の選手たちへとシフトした。
樋口新葉はその「次世代」のうちの一人である。
彼女はシニアデビューに先駆けて、世界ジュニア選手権で二度、銅メダルを獲得している。
この「まだ」16歳の少女は、先月(2017年4月)に東京で開催された、
世界フィギュアスケート国別対抗戦で大変な注目を集めた。
彼女は観衆に力強いパフォーマンスで感銘を与え、
パーソナルベストのスコアを叩き出した――SP:71.42、FS:145.30というとてつもない点数だ。
しかも、彼女は公式練習で数度、トリプルアクセルの着氷に成功している。
全日本選手権で三度目のシニアのメダルを獲り、
GPSデビューのフランス杯では銅メダル、NHK杯では4位に入賞した樋口は、
世界選手権で11位となり、順調なシニアデビューを果たしたように見える。
しかし、この若く意欲的なスケーターは、これら全てに満足していないのだ。
「今季シニアに移行した時、私はいくつかの結果を出すことを期待されていたが、
それらを実現させることは難しかった」と樋口は認めた。
「しかし、シーズンの最後で良い結果を出せた。私は今までYouTubeやテレビを介して、
シニアのスケーター達の演技を観てきたが、
私にはシニアスケーターとして戦うにはまだ彼女たちと異なっている部分が多い。
要は、エレメンツにおいて一つでもミスを犯した場合、私は道を逸れてしまう(=失敗に気を取られてしまう)。」
それにも関わらず、岡島功治と佐藤紀子の指導を受けているこの若いスケーターは、
それほどのプレッシャーを感じていない。
彼女にとって、今シーズン最も印象的だったシニアの女子スケーターは、
アメリカのアシュリー・ワグナーとカナダのガブリエル・デールマンだ。
「アシュリーの素晴らしい表現力を持つSPが好きでした。
ギャビー・デールマンにも感銘を受けました――彼女はとても、強い。」
トリプルアクセルは樋口の来季の「やるべきことリスト」のトップにある。
彼女は現在、来季のFSにおいてトリプルアクセルを構成に組み込むつもりだ。
それに加え、彼女は全体的により力強く、パワフルなスケーティングを見せたいと考えている。
「私はトリプルアクセルの練習に全力で取り組んでいる」と、
この東京出身のティーンエイジャーは言う。
「去年、私はハーネスを使ってトリプルアクセルの訓練を始めた。
二年前に初めてトリプルアクセルを試した時、それほど難しくないように思えた。
だから私は昨年から実際に跳ぶ訓練を始めた。
(実際に取り組んでみると)トリプルアクセルは少し怖い。
幾度かのひどい転倒を経験したし、私の体にはそれらによる打撲痕が残っている。」
痛みを伴う転倒の数々にも関わらず、
彼女はこのトリプルアクセルというエレメンツに全力で取り組み、前進し続けている。
このジャンプは今シーズンにおいては、たった一人、
同じ日本のジュニアスケーターである紀平梨花のみが、全女子選手の中で成功したものだ。
「トリプルアクセルに挑戦するのは大きなリスクを伴うということはわかっている。
でも、成功すればとてもいい気分になれるし、私はチャレンジすることが好き」と、
樋口は笑顔で語った。
ジュニア時代以来、
この「負けず嫌いで、挑戦的で、可愛くて朗らか」と形容される日本のスケーターは、
ダイナミックなスケーティングと素晴らしいスピードで有名であり、
彼女自身もこれらを自身の強みとして挙げている。
「誰もが私のスケーティングがパワフルかつスピーディで、
その能力に関してはかなり安定していることを知っている」と、
3歳からスケートを始めた樋口は言う。
「もうひとつ、重要なのは、競技に集中し、良い結果を出すこと。
それによって私は全日本選手権で2位になれた。
シニアに移行してから、私は表現力に注力し、もっと感情をあらわして滑ろうとしたけれど、
そのために自分の持ち味であるスピードを落としてしまった、と思う。」
同時に、樋口は彼女自身にはまだまだ改善の余地があると感じている。
「完璧なパフォーマンスを行うことは難しい」と彼女は言う。
「私は悪くない結果を得ているけれども、パフォーマンス自体には満足していないし、
私が思っているほど完璧ではない。私は完璧主義者。だから、毎回完璧にやりとげたい。」
しかし、この高校生は失意を覚えた時、立ち直るためにすぐに行動することができる。
「私は眠れば失敗を忘れるし、散歩すればリラックスすることだってできる!」
樋口は来シーズンの彼女のプログラムについてまだ試行錯誤している。
「私は私の強みであるスピードを取り戻したい」と彼女は言う。
「来季はSP・FS共に変更するつもりだ。私は表現面で感情を表し、
同時にクールでかっこいいプログラムを演じたい。」
樋口は五輪代表枠が2枠となった日本女子において、
五輪代表になるのはとても難しいことだと理解している。
全日本女王の宮原知子が復帰し、2017年の四大陸選手権王者の三原舞依や、
2016年の世界ジュニア選手権王者、
2017年同大会の銀メダリストの本田真凜も代表争いに加わると言えば、
日本女子の状況がどのようなものかたやすく理解できるだろう。
しかし、そのような厳しい状況にも関わらず、
樋口は国内外で彼女自身が戦っていく力を持っていることを知っているし、
私たちは彼女に、彼女と彼女のチームが全力で代表枠を獲得するために戦う姿を期待できるのだ。
↑こちらはフレイドさんにご提供頂いた、
世界フィギュアスケート国別対抗戦のキスアンドクライの写真です。
こちらでクレジットを入れました。
フレイドさんのご好意ですので、無断転載は厳禁でお願いします。
Written and Photo by Tatjana Flade (Twitter:@Tatjana21)
Artcle posted source:"Golden Skate" http://www.goldenskate.com/
以上、拙訳ですが記事全文を訳しました。
少し(割と)意訳したところもありますし、
日本語で伝わりやすいよう表現を変えたところもありますが、
なるべくフレイドさんの元の記事のニュアンスを反映させたつもりです。
誤訳などございましたらお許しを。